2017年度 父母交流会(学内会場)「なるほど日本語教室 -点検!日常のことばー」(1)

 2018年3月3日(土)父母交流会(学内会場)を開催。獨協大学言語文化学科非常勤講師 梅津正樹先生による講演「なるほど日本語教室 -点検!日常のことばー」が開催されました。

 交流会のあとは懇親会を開催。参加した222名のご父母・保証人は美味しい食事とともに興味深い講演の感想を交わすなど交流を深め、盛況のうちに終了しました。


[講演]
なるほど日本語教室 -点検!日常のことばー

2017父母交流会学内梅津先生
梅津正樹 先生 (獨協大学言語文化学科非常勤講師)
元NHK エグゼクティブアナウンサー
1972 年獨協大学法学部法律学科卒業。
専門は、放送・日本語・コミュニケーション・アナウンス。獨協大学卒業後、NHK 入局。報道・教養番組など担当。人材育成・放送用語委員など務める。
現在は、本学非常勤講師の他、獨協学園評議員、NHK アナウンス室契約アナウンサー、NHK 日本語センター専門委員、NHK 文化センター講師として活躍中。

一緒に考えて話し合うことが学問
 私の授業は全く教科書がありません。教科書があればそれを読めば済んじゃいますしね。
 教科書通りに授業を進めたら面白くないと現役時代からずっと思っていたので、自分が教壇に立った今は学生の状況に応じて進めております。
 私は教える者と教えらえる者の立場ってそんなに違わないと思っているんです。一緒に考えようと。学問を通じての人間形成、私今年で70 歳になりますが、70 歳になる私と20 歳前後の学生の皆さんと同じ立場で一つのテーマを考えてみよう、価値観が違うと思うけれど一緒に考えて話し合うということが学問かなと思っています。

日本語の特徴、婉曲表現
 日本語の特徴の一つははっきりものを言わない、遠回しに言うこと。
婉曲表現といいます。例えば今日おでかけになるときに近所の人に会ったら「あら、おでかけですか」って言われる。今家出たんだから出かけるに決まってますよね?そして「ええ、ちょっと」それで済むでしょ?
それが日本語です。いちいち「あら、これから、日曜で、こんなに天気がいいのに、どこに何しに行くんですか」って誰も聞きません。聞いたら失礼なんです。返答も「ええ、ちょっと」で十分なんです。詳しくは説明しない。「トイレの方に行かれる方いらっしゃいますか」、トイレに行く人でしょ?でもトイレの方って言いますよね。

相手の心情を聞いてはいけない。
  日本語についての特徴はもう一つあって「相手の心に入り込んでは失礼である」というのがあるんです。どんなに丁寧な言葉遣いでも「部長、コーヒーお飲みになりたいですか」って言ったら失礼なんです。目上の心情を聞いてはいけないんです、「部長もコーヒーいかがですか」って言わないといけないんです。
 だから例えば目上に「ごくろうさま」とは言えないんです、なぜなら「あなたの力量からしたら今の仕事は苦労したことでしょう」ということだからです。

自己PR はコマーシャルではありません。
 今就職は売り手市場です。どこかには行けるんです。でも自分が本当に行きたいところにいけるかどうか、それは難しい。なかなか思い通りにはいかないんです。学生が一番苦手なのは自己PR です。皆悩むんです。当たり前です。自己PR はコマーシャルじゃありません。自分の良いところを言えというのではないんです。自分が他人と何が違うかを訴える、それが自己PRなんです。今まで自分は何を考えどう生きて来たのか、何をしてきたのが大事であって今何ができるかではありません。
 こんな挫折をしました、自分はそれをこうやって乗り超え、そこからこんなことを学びました。それが今に結び付いています。それが大事です。面接で知りたいのは、現在の能力ではなく、人間性・社会性・将来性なんです。皆様のお子様には、できるなら今のうちに挫折も経験して、社会の中の一員としての自分を見つめる機会があると良いと思います。


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