2025年度 総会レポート(2)

[名誉会長挨拶]
市民としての主体性と倫理観
獨協大学父母の会名誉会長・獨協大学学長 前沢 浩子

 みなさんはお子さんにどんな期待を抱いていらっしゃいますか。健康に恵まれて人生を歩んでほしい、良い伴侶に恵まれてほしい、やりがいを感じられる仕事についてほしい、経済的に不自由のない生活をしてほしい、そのような様々な親の願いは、究極的には「幸せに生きてほしい」という、その一言に尽きるのではないかと思います。少し意外に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、教育の目的もつきつめればひとりひとりの学生が幸福を追求する、その支援をすることなのです。

 20世紀の後半から、さまざまな学問分野で幸福が研究の対象となり、近年、急速にその研究が発展しています。Happiness studiesとか、wellbeing studiesと呼ばれます。日本では「幸福学」という呼び方をすることもあります。心理学、経済学、脳科学、社会政策学などさまざまな研究分野で、人はどのようにして幸福感を抱くのか、人々が幸福になるにはどのような経済政策や社会政策を実現すれば良いのか、幸福度はどのようにして測れば良いのかといった研究がなされています。ウェルビーイング学部やウェルビーイング学科を作った大学もあります。

 獨協大学には今の所、そのような学部や学科はありませんが、どのような分野であろうと、学問とはひとりひとりの幸福追求と、社会全体の安寧へとつながるものでなくてはなりません。獨協大学では学生たち全員に卒業までに身につけてほしいことを、項目にして学生たちに伝えています。それを学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)と呼んでいます。大学の4年間で獲得してほしいことを言葉にまとめたものです。そこに謳われている項目のひとつに「市民としての主体性と倫理観」というのがあります。どの学部であろうと、獨協大学に入学してきた学生には、4年間で「市民としての主体性と倫理観」を身につけて卒業してもらうことを、獨協大学は基本方針として定めているのです。

 さて、その「市民としての主体性と倫理観」は、ひとりひとりの学生がそれぞれの道で幸福な人生を切り開くことにどのように役立つのでしょうか。自ら行動したり考えたりする主体性や、正しいこと、良きことをしようとする倫理観は、人を幸せにするものでしょうか。

 幸福を研究している研究者たちによると、幸福感を感じる上で必要な要素のひとつは他者とつながり、他者に感謝されることだそうです。別の言葉を使えば、社会性と利他的行動によって、人は幸せになるというのです。自分のことだけを考え、自らの利益のみを追求するのではなく、他の人々にも目を向け、ときに他者のために手を差し伸べ、行動することによって、人は幸福になるのです。

 学生たちが獨協大学で学ぶことは多岐にわたります。外国語や法律や経済のことももちろん学びます。それと同時に、私たちは学生たちに、ぜひともこの「市民としての主体性と倫理観」を身につけてほしいと願っています。ひとりひとりが社会を支える市民であり、より良い社会を作っていこうとする姿勢を身につける。そのことによって人間関係の豊かなネットワークの中でたがいに感謝し、感謝される存在として生きていくことができる。このことが獨協大学でのとても大切な学びの一つなのです。

 このような大学での学びに対し、父母の会からは多方面でのサポート、多大なご寄付を賜り、この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。


[副代表幹事挨拶]
大学との強固な連携を図り、最大限の支援を
2024年度 獨協大学父母の会 副代表幹事 野田 拓男

 本日は2025 年度獨協大学父母の会総会にご出席いただき、誠にありがとうございます。会員の皆様におかれましては、日頃より父母の会の活動に対し、ご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 獨協大学父母の会は、大学の教育方針に則り、大学と大学の学部に在籍する学生の父母が連携を図り、学生の学習活動を支援するとともに、大学の教育研究環境の充実及び発展に寄与することを目的に、これまで大学教職員の皆様のご協力と役員諸先輩方のご尽力により、様々な活動を続けてまいりました。これもひとえに、会員である父母・保証人の皆様のご支援があってこそ成しえたものと、深く感謝しております。重ねて御礼を申し上げます。

 本会は、学生の成長と大学の発展を願い、大学の教育研究活動への助成、奨学金事業への支援、進路就職活動への支援等を行うとともに、父母懇談会等を通じて会員間の交流促進を図るなど、様々な活動を展開しております。学生が安心して充実した学生生活を送ることができるよう、大学との強固な連携を図り、陰ながら支え、最大限の支援をすることを目指して、役員一同、活動に邁進してまいりました。会員の皆様には、これからも引き続き、温かいご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2025年5月24日(土)15時~16時
   東棟1階102教室

出席者:正会員80名(委任状2,737件)

<プログラム>

 議事に先立ち、前沢 浩子 名誉会長および野田 拓男 副代表幹事より挨拶がありました。

議題1.議長選出
 野田拓男副代表幹事の指名により、堀尾立信執行幹事が議長となりました。

議題2.2024年度収支決算報告
加藤結巳幹事による報告の後、長谷川幹人監査より監査報告があり、2024 年度収支決算が異議なく承認されました。次いで、野田副代表幹事から2025 年度事業計画について説明がありました。

議題3.獨協大学父母の会幹事および監査の選任
 野田副代表幹事から正会員幹事12 名、監査1 名の立候補者を次期役員に選任することについて提案があり、審議の結果、立候補者全員が異議なく承認されました。

議題4.その他
  なし


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