2020年度 オンライン父母懇談会(2) - 就職に関する講演 –

 就職に関する講演では、採用コンサルタント/採用アナリストの谷出正直氏による講演動画「納得のいく就活のススメ~コロナ禍での動向と今後の展望~」、学生の就職活動経験動画が公開されました。


1】最新の企業の採用動向

 新型コロナウイルスの世界的な流行により、就職氷河期が訪れたのではという声を耳にします。実際に航空会社や旅行業界が採用活動を延期、中止したというニュースが流れたように、一部の業界には大きな影響を及ぼしています。コロナによりマイナスの影響を受けている業界は採用が非常に厳しい状況にありますが、プラスに働いている業界は積極的に採用していこうという動きをしています。今回のコロナウイルスの影響は、業界によって全く異なります。
 21年卒の大卒有効求人倍率を見ると、1.53倍で決して低い数値にはなっていません。就職氷河期や超氷河期は1.0以下、その後も1.2程度で推移していたことを考えると、値としては非常に高い位置にあると言えるでしょう。しかし、学生にとっての就職活動は今まで売り手市場でした。企業の採用意欲が高く、就職する企業を学生が選べるような形であったことを考えると、1.53倍という値は厳しさを感じる値かもしれません。

2】学生を取り巻く就職環境の変化

 企業の選考活動の本格化に伴い、ウェブ面接が広がりを見せています。3月時点では就活生のウェブ面接経験率は3割程度でしたが、企業の選考活動が本格化した6月の時点では約7割の学生が経験しています。
 就職活動のオンライン化が始まった3月の時点では、学生のウェブ面接への不安な部分は『自分の話が伝わるか』が大多数でした。しかし、オンライン化が進むと、不安な部分は『通信環境』に変化していきます。不安定な通信環境により自分の就職活動を不利にしないためにも、通信環境は事前に整える必要があります。
 説明会から内定を出すまで、一度も顔を合わすことなくオンラインのみで採用活動を完結する企業も業界問わず増えてきています。これに関しては、現時点では成功しているのか失敗しているのかまだわかりません。企業側も学生との理解・意思疎通をしながらオンラインでの採用活動に取り組んでいるところです。

3】今後の展望(社会情勢や働き方)

 コロナの影響によって、社会や環境も大きく変化しましたが、個人で見ると働き方が非常に大きく変化しました。長時間労働の是正や人材の流動化という、テレワークや副業を推進していくような動きが一気にコロナによって進められた形です。
 就職活動をしている4年生に行った『勤務先や居住地域の理想』の調査では、今までは働く場所が自由ではなかったので、東京や都市群で働きたいという声が多数でした。しかし今回コロナ禍により、段々と働く場所を自由に選べる雰囲気になってきています。この状況での調査では、地方の企業に勤めたいという声は47%、地方に住みたいという声は54%にまで増えました。大きな変化です。
 副業についても、今まで社員はその会社の決められた仕事だけしていればいいという立場でした。しかしながら、今後長い目で見たときに様々なことを実際経験しておきたい、副業を通して人と出会いたい、自分のこれまでの仕事や経験を生かして他の人の役に立ちたい、自分の価値を高めたいなどの想いが解禁を進めているように思います。
 現状、学生は副業を除くと一つの会社しか選べません。どういう企業を選ぶべきかという質問も多く受けますが、就職活動においては、選択肢の中に正解があるというより、自分が選んだその選択肢を『選んで良かった』と思えるように取り組むことが大事です。正解を選んで終わりではなく、選んでからがスタートだと思って取り組んでください。

キャリアセンター講演

一人一人に寄り添ったキャリア支援を
キャリアセンター所長 岡田圭子
 本学キャリアセンターのミッションは『学生の「自律」「自己理解」「五感」を大切にしながら共に目標を目指し、自身と母校への誇りを持ち、卒業後に社会で活躍できるよう支援をする』です。キャリアセンター職員が学生一人ひとりに寄り添い、人生設計を支援していこうという強い決意を読み取っていただけるかと思います。
 本年度はコロナ禍に伴い、キャリアセンターからの支援を対面からオンラインに切り替えて実施しました。コロナにより就活がストップしてしまった新4年生全員に電話をし、不安や悩みを聞く『就活ホットライン』、対面・ウェブ両方で実施した『進路相談』をはじめとし、ウェブ上から有用なデータの閲覧、ダウンロードができるよう、学生専用のポータルサイトの調整や、ガイダンス講座の配信などを行っております。今年の4月以降配信されたビデオは30本以上、就職ガイダンス・インターンシップ・業界研究などその内容は多岐にわたります。
 このようにコロナ禍でも本学キャリアセンターは活発に情報を発信し学生支援を行っています。獨協生のためのキャリアセンターを、ぜひ積極的に活用してください。本学の卒業生は企業の人事担当者から高い評価を得ています。自信をもって就活に取り組みましょう。
 本学のキャリアセンターは、これからも引き続き学生さん一人一人のキャリア支援を全力でおこなっていく所存でございます。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。
内定取得学生による就職活動体験談

就職活動は親子の絆を深める機会
インテリア業界内定 外国語学部 ドイツ語学科 4年
 就職活動に際し、『人々の生活に楽しいと思える時間を作り出し、笑顔で過ごせる時間を増やす』を自分の目標とし、活動していました。
 就職活動では、語学の勉強とアルバイトでの経験が大きな力になりました。語学の勉強では目標達成意識の高さや粘り強い行動力を、アルバイトでは相手に合わせたコミュニケーション能力を得ることができました。どちらも『どうすれば達成できるのか』『どうすればニーズに応えられるのか』を常に考え主体的に取り組んでいたため、それも大きなアピールポイントになったと思います。
 就職活動において、両親には交通費をサポートして貰うほか、相談に乗って貰っていました。特に就職活動を始めたばかりの頃は、父に意見を求めることもありました。迷った際に、自分のことを誰よりも理解してくれている両親が自分に合わせたサポートをしてくれるという安心感があると、学生もより頑張れるのではないかと思います。
 就職活動は、学生だけではなく親御さんも不安や心配を多く抱えることと思います。しかしながら、子供の成長やいいところを見つける機会や、親子の絆を深める機会でもあります。お互いに初めての経験で大変なことも多いかと思いますが、前向きに乗り越えていただけたらと思います。
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2020年度 オンライン父母懇談会(3) - オンライン学部学科別懇談会レポート –

 例年学内で行われる父母懇談会で好評いただいている『学部学科別懇談会』が、今年度はWeb会議ツールZoomを使用して行われました。参加者は学生が所属する学部学科に分かれ、先生方から日ごろの学生の様子をうかがったり、直接相談したりすることができる貴重な機会です。
当ページでは父母の会幹事によるオンライン学部学科別懇談会のレポートを掲載します。


外国語学部 ドイツ語学科 全学年

学科長、教務委員、学生委員、国際交流委員、キャリアセンター委員の5名が参加されていました。先生方も会員も真摯な様子で緊張感がありました。オペレーターの時間管理が少し厳格な印象を受けたので、もう少し大らかだと、大学と会員双方向納得がいくやり取りができたのではないかと感じました。(幹事 中澤俊勝)

外国語学部 英語学科 全学年

佐々木学科長の優しいお人柄が出る挨拶や近況報告から始まり、工藤准教授の留学についての状況説明、佐野キャリアセンター委員の就職状況などわかりやすく説明いただきました。会員の留学に関する質問に真摯にお答えする工藤教授の姿が印象的でした。終始良い雰囲気の懇談会だったと思いました。(幹事 内田千夏)

外国語学部 フランス語学科 全学年

学年ごとの教育プログラムや留学についてなどのほか、オンライン授業についてなど現在の状況の説明がありました。全体的に学生の遅刻欠席もなく、真面目に授業を受けられているようで安心しました。交流という面では物足りない気がしましたが、ご参加いただいた皆様のお陰で滞りなく会を終えられたと思います。本当にありがとうございました。(幹事 田口裕美子)

外国語学部 交流文化学科 全学年

永野学科長より留学、就職の報告と説明、山口教務委員よりオンライン授業の様子等の説明がありました。先生方のご説明が完璧で、苦渋の選択の結果現在の状況であることがとてもよく伝わってきました。御父母の発言は少なかったですが、先生方の口から直接お話を聞くことができ、安心されたかと思います。とても有意義な懇談会だったと思いました。(代表幹事 野間綾子)

国際教養学部 言語文化学科 全学年

依田学科長の司会進行で滞りなく進行しました。父母からの質問や話題は『コロナウイルスの影響で一度も通学ができない』『留学はできるのか』『就活はどうなるか』など、心配事が大半を占めていました。先生方からはそれぞれ専門分野でのお話をしていただき、大変有意義でした。先生方、お忙しい中、ありがとうございました。(執行幹事 渡邊ひろこ)

経済学部 1年

木原学科長による学部の概要や事前質問への回答説明など、全く情報が入らずにいた1年生の会員にとって有意義な懇談会でした。今後も同様の機会があればと思います。また、今回は国際環境経済学科の先生3人でしたが、できれば他学科の先生にも出席していただきたかったと思いました。(幹事 西村和典)

経済学部 2年

学生サポート、就職活動、留学について先生方が話された後、質疑応答がなされました。一部の方しか画面に顔を出さなかったのが若干残念でした。多数の顔出しが可能なら、出席者の様子がわかりより絆が深まったことでしょう。Zoomを初めて使う方も居たと思いますが、今後の父母の会イベントのツールとして十分活用できることを確認しました。(執行幹事 狩野保弘)

経済学部 3年

役員挨拶から始まり、前半は授業、後半は就職活動の説明。先生方には皆様からの事前質問を中心にご対応いただきました。学内の企業説明会はオンラインが中心のため、大学のキャリアセンターをぜひ活用してほしいとのことです。開始、終了ともに滞りなく、実りのある学部学科懇談会でした。(副代表幹事 渡辺六恵)

経済学部 4年

倉橋学部長と李准教授から、現在の授業の様子や就職活動、留学に関する説明のほか、経済学部が学生に向けて行っているコロナサポート(経済学部ツイッター開設、オンライン経済学部の部屋)の説明がありました。顔出しがなく参加者の雰囲気がわからなかったのが心残りですが、学部や学生の今を知ることができた懇談会だったと思いました。(幹事 杉山誠)

法学部 全学年

法学部カリキュラム概要についてや、オンライン授業及びオンライン授業期間の学生ケアについての説明がありました。コロナ禍の為か例年よりたくさんの参加者がいましたが、学部長の進行の元、会は滞りなく進み、会員の感謝のお言葉も聞けて充実した懇談会だったと思いました。(幹事 宮城惠子)

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2020年度 オンライン父母懇談会(4) - アンケート結果 –

参加した理由は (回答数229 複数回答可)

■地方在住のため、今回のようなZOOMで参加できる企画は大変ありがたかったです。今後も、機会があれば参加したいと思います。(英語学科 3年)
■オンラインであれば、時間にとらわれずに視聴でき、懇談会にも対面と違い、気軽に参加することができた。(経営学科 2年)
視聴・参加したのは (回答数363 複数回答可)

■学部学科別懇談会に参加しました。自己紹介の時間を設けていただいたので、他の保護者の方々の考えを直接聞くことができ、有意義な時間でした。ありがとうございました。(国際環境経済学科 1年)
■学生の就活体験談を複数人取り上げて頂きたかった。(ドイツ語学科 4年)
■先生方のあたたかいお人柄が感じられ、参加して良かったです。来年度はぜひリアルで参加してお会いしてみたいと思いました。(フランス語学科 3年)
視聴・参加して有意義だったのは (回答数222 複数回答可)

■学部学科別懇談会ではオンライン授業の利点を詳しく教えてくださったので、オンライン授業がいかに安全でかつ有効であることがとてもよくわかり安心いたしました。(英語学科 2年)
■谷出先生の講義がとても聞きやすくためになった。頭にすっと入る、納得のいくお話でした。(交流文化学科 1年)
その他ご意見・ご感想
■オープンな雰囲気でとても良かったと思いました。 (経営学科 1年)
■学内の詳細な状況等を得る場として活動を継続して頂けると大変ありがたいです。(交流文化学科 3年)
■まだ、学校に1度も通ってないので、親としては不安な気持ちがありますが、担任の先生のお顔が拝見できたのでよかったです。(経済学科 1年)
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伝統芸能鑑賞教室第15回「歌舞伎 オンライン鑑賞」

 獨協大学父母の会では、本学学生の皆さんに日本の伝統芸能に間近に触れ、自国の文化を理解してほしいとの思いから、伝統芸能鑑賞教室を開催しています。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止と参加者の安全確保に配慮し、オンラインでの歌舞伎鑑賞を実施します。歌舞伎鑑賞は大変好評で、毎年定員を超える申込みがあります。オンラインでの鑑賞は初めてとなりますが、1人でも多くの学生の皆さんに鑑賞してもらいたく、今年も定員200名にて実施します。
 日本古典芸能の代表である、歌舞伎の世界をぜひ体験してください。多くの学生の皆さんの申込みをお待ちしています。

視聴可能期間:2021年1月29日(土)0時 ~ 2021年2月5日(金)0時
※視聴期間は以下のすべての演目が視聴可能です。

【演目】
「茨木」(詳細はこちら)
「大江山酒呑童子」(詳細はこちら)
「寿曽我対面」(詳細はこちら)
「梶原平三誉石切」(詳細はこちら)

対 象:獨協大学学部学生
定 員:200名
参加費:無料
申込方法:ウェブ申込みフォームにて受け付けます
※申し込みは終了しました。ご応募ありがとうございました。

申込締切:1月15日(金)15時まで

【注意事項】

・お申込みは必ず視聴できる方に限ります。
 ※視聴は公式動画配信サービス「MIRAIL(ミレール)」にて行います。
 サイトのヘルプ(https://mirail.video/help#Play)にて視聴環境等、ご確認ください。

・ID・パスワードは申請者個人に割り当てられたものであり、第三者へ貸与・譲渡はできません。

・お申込みは1人1回までとします。重複して申込みされた場合でも1回の申込みとして処理しますのでご了承ください。

・申込みフォーム送信後、フォームに登録したメールアドレス宛に確認メールが送信されますのでご確認ください。

・迷惑メール対策等で個別にメールアドレスやドメインなどを指定して受信/拒否の設定をしている方や、PCからのメール受信を拒否している方は必ずドメイン「@stf.dokkyo.ac.jp」からのメールが受信できるよう設定をお願いします。

・申込み多数の場合は抽選となります。

・当選された方には1月21日(木)以降にID・パスワードをPorTaⅡ登録住所へ郵送いたします。PorTaⅡの住所に間違いがないか確認しておいてください。

・視聴後はアンケートフォームにて感想を提出願います。

問い合わせ先:獨協大学父母の会事務局(中央棟2階総合企画課内) 電話:048-946-1962

父母の会主催 1年生の会員向けオンラインセミナーのご案内(終了)

1 年生の保証人( 会員) の皆様へ

 新型コロナウイルス感染症拡大により、2020 年入学の1 年生は、大学生になった実感を持つことが難しかったと存じます。同時にそのような1 年生を持つ会員の皆様も、『大学生の親』( 大学生の保証人)になったという実感を持つことが困難だった方もいらっしゃると思います。獨協大学父母の会は、2020 年度入学生を持つ会員の皆様に少しでも役立てる企画として、オンラインセミナーを実施します。
 現状キャンパス内で集会形式での実施は困難であることから、オンライン形式となりました。父母の会が企画し、制作を大学に依頼しましたので、ぜひご覧頂きたくお願い申し上げます。大学での授業や学生生活の理解、不安の解消にお役に立てれば幸いです。

オンラインセミナーは終了いたしました。たくさんのご視聴、ありがとうございました。

『子ども(学生本人)にも聞かせたいと思った。』 (交流文化学科 1年)
『大学で学ぶ意味や価値観に改めて気付き、この4年間のモチベーションや使い方を息子に考えてもらいたいと思いました。』(経済学科 1年)
『大学に通えていない現状での不安要素がありましたが、今回のセミナーにより保護者としては少し改善出来ました。』(フランス語学科 1年)
『状況を確認でき、参考となった。』(総合政策学科 1年)

【会員の皆様へ】父母の会会報43号の発行について

父母の会会報43号を発行しました。

(主なトピック)
・父母懇談会レポート
・大学における新型コロナウイルス感染症への対応
・作業部会紹介

会報は2020年11月30日に会員のご自宅宛に発送しました。まだ未着の会員の方がおられましたら、お手数ですが父母の会事務局までご連絡ください。

獨協大学父母の会事務局

大学硬式野球部の並木選手がドラフト会議で指名

10月26日、プロ野球ドラフト会議が都内で行われ、体育会硬式野球部の並木秀尊さん(経済学科4年)が東京ヤクルトスワローズから5位指名を受けました。
創立から56年、獨協大学の学生として、初めてNPB所属球団から指名されました。
獨協大学父母の会はお祝い申し上げるとともに、今後のご活躍をお祈りいたします。

【会員の皆様へ】父母の会会報42号の発行について

父母の会会報42号を発行しました。

(主なトピック)
・総会レポート
・2020年度新役員紹介
・2019年度収支計算書
・退任役員のコメント

会報は2020年7月31日に会員のご自宅宛に発送しました。まだ未着の会員の方がおられましたら、お手数ですが父母の会事務局までご連絡ください。

獨協大学父母の会事務局

【学長対談】新学長に聞く、獨協大学の現在と未来1

2020年6月 学長対談
 獨協大学は、本年4月より山路朝彦教授が学長に就任され、新体制のもとでスタートを切りました。その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大は、獨協大学の教育研究活動にも多くの影響を与えており、学生をはじめ、ご父母の皆さんにも大変な不安を与えています。
 そこで本号では、山路学長に新学長としての抱負を語っていただくとともに、獨協大学におけるこれまでの新型コロナウイルス感染症に対する取り組みについてお話を伺いました。(聞き手:中澤俊勝代表幹事 進行:野間綾子広報作業部会長)

司会 まずは山路先生、新学長ご就任おめでとうございます。早速ですが、先生のお考えになる大学運営の方針についてお話をいただけますか。

学長 これまで8年間犬井正前学長のもとで副学長として仕事をしてきた経験をいかし、従来の大学の方針をできるだけシームレスに繋いで、さらに発展させていくのが私の使命です。獨協大学は、天野貞祐先生の「大学は学問を通じての人間形成の場である」という理念を第一に掲げております。したがって、教育力をさらに伸ばしていくのが本学の使命であり、学長として今後も取り組むべき第一の課題と考えております。また、本学は昨年度に授業時間を90分から100分に増やしました。例えば前半は先生が講義をして、後半はみんなで考えたり、作業をしたり、グループでディスカッションをしたりする。そんな風に、従来とは違う授業のやり方を進めるきっかけになればと考えていました。さらに今回、遠隔授業が導入されたことは、授業のやり方を変えるいい機会になったと捉えています。一方的に先生がたの話を聞くだけではなく、学生が自主的に学ぶことで、社会でも通用する実行力や判断力、意志を育てられるよう教育の質を転換させていく。それが、この4年間で私が目指すべき方向性だと考えています。

山路朝彦新学長
山路朝彦新学長

代表幹事 この困難な時期に学長に就任され、本当に苦労されていると思いますが、お話を伺いまして大学の方針が十分に理解でき、父母の会としては安心しました。次に、この会報の読者であるご父母・保証人の皆さんが最も関心を寄せ、またご心配されている新型コロナウイルス感染症への対策について、お聞かせいただけますか。

学長 2月の段階でコロナウイルスに関する危機管理部会を立ち上げ、3月の卒業式及び4月の入学式の中止と、授業開始を4月21日まで繰り下げることを決定しました。その後、4月7日に緊急事態宣言発令と同時に埼玉県からの外出自粛要請が出たため、全ての建物を閉鎖し、学生には自宅待機をお願いしました。しかし、授業は行わなければいけないということで、遠隔授業を行うことを決定し、学生にはオンライン学習に対する準備のお願いをしました。

 感染拡大の状況に鑑みて、おそらく夏までは遠隔授業に切り替えざるをえないと判断したためです。しかし、学生にとっては準備と言われても何をどう用意すればいいのかわからず、場合によっては経済的に難しい。そこで、遠隔授業のための準備金として、全学生に対して一律10万円を支給する『2020年度獨協大学遠隔授業支援特別奨学金』の給付を決定しました。授業開始を5月25日まで再度延期し、在学生対象のポータルサイトやWeb会議システムなどの各メディアの整備(容量拡大、通信強化など)を行うとともに、特別奨学金の支給を授業開始前に学生の手元に届くように急ぎ、今週ようやく授業が開始したところです。

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【学長対談】新学長に聞く、獨協大学の現在と未来 2

代表幹事 全学生への特別奨学金の給付は大きな決断だと思いますが、この決定に至るまでにどのような経緯があったのでしょうか。

学長 遠隔授業への学生支援を行うにあたり、何ができるかを考えました。コンピュータを何千台と大量に購入し、学生に貸与あるいは供与するという案もありましたが現実的に難しく、それよりは、遠隔授業に耐えうるスペックのコンピュータを学生が自分で揃えられるよう、その費用を大学でもできる限り負担してあげようということで、支給を決定しました。通信環境を設備の一つと考えると、大学の通信環境の強化と並んで、学生側のインフラの整備は授業を行うために必要なことですから。また、特別奨学金の支給後には、教職員へも募金を呼び掛けています。本学の学生のため、教職員も連帯して支援していく姿勢を見せることが必要だと考えたからです。

代表幹事 遠隔授業開始から一週間が経ち、学生や先生方の様子はいかがでしょう。

学長 いろいろと大変で模索中ですが、比較的良いスタートだと感じています。この経験を通じて教え方が変わり、事態が収束しても従来の紙ベースの授業には戻らないだろうと予想されます。

代表幹事 4年生のご父母は、就職活動についても心配されています。

学長 大型の企業合同説明会やインターンシップが中止となり、学生もご父母の方々も不安でしょう。本学ではキャリアセンターという部署がオンラインでの情報提供を行っているほか、4年生全員への現状のヒアリングと個別相談を実施しています。少しずつ求人活動が再開されていますし、延期された公務員試験があるので、今後もこちら側か
ら積極的に働きかけ、支援していくつもりです。

代表幹事 最後に、緊急事態宣言の解除を受け、今後の施設利用やクラブ活動の再開の見通しについてお話を伺えますか。

学長 正直に申しまして、それに関しては、数日前に解除されたばかりの5月末の段階では慎重にならざるをえず、まだ判断しかねる状況です。ただ、一度も大学に来られていない1年生には、なんとかしてキャンパスに来られる機会を作ってあげたいものです。

代表幹事 先生がおっしゃった「学問を通じての人間形成」は、父母の会の願いでもあります。まずは、学生のための遠隔授業環境整備のため、500万円を助成させていただきます。微力ではありますが、今後も大学と連携しながら、奨学金の給付サポートや食育、助成などを通じてご協力できればと考えております。

学長 ありがとうございます。必ず活用させていただきます。困難な状況にあるなか、学生たちには遠隔授業などを通じて、いろいろな事態に対応できる力を身につけてもらいたい。大学はそのための支援を惜しみません。

代表幹事 父母の会は、大学と連携をしながら学問を通じての人格形成に仲介することができる立場です。父母のみなさんには、ぜひ積極的に父母の会に関わっていただきたいと思います。

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